感染者ゼロの岩手をはじめ東北エリアは感染者も比較的少なく、宮城は10万人あたりの感染者の累計が全国最小ということもあり先日一足早く休業要請解除となりました。
しかしながら解除を喜ぶ声と危ぶむ声、それぞれあってまだまだ手放しで歓迎とはなっていないのが現状です。
そこで今回、仙台市内のいくつかの飲食店に
○休業要請期間中はどのような営業をされていましたか?
○テイクアウトをやられている場合、いつまで継続されますか?
○例年と比べて休業要請解除後の客入りはどれくらいでしょうか?
○休業要請が解除されてからとコロナ前のお客様の様子は何か違いますか?
○他に何か感じられた事などあれば教えてください
という質問をしてきました。
嘉肴萬菜○いけ(まるいけ) 宮本光貴さん
一人目はカウンターさばきも絵になるイケボな宮本さん。嘉肴萬菜○いけさんはお一人様も安心な日本酒メインの居酒屋です。
昨年12月に店を引き継いたばかりという宮本さんは感染リスクを考え、いち早く公庫から追加で借入を行い4月18日から5月6日まで完全休業をしていました。現在の客入りは昨対で7割減。
要請解除後、少ないながらも常連さんがちらほら来店されましたが、来店と同時に「消毒はどこにあるの?」など消毒が習慣づいている事に驚いたそうです。
皆さん美味しそうにビールを飲まれたあとに「やっぱり店で飲むビールはウマいね!」と言ってくれたのがとても嬉しかった。
宮本さんは仙台飲食店が立ち上げた割引チケットが手に入るクラファンも参加し1割増食事券の発行をし常連さんが購入してくれたそうです。中でも6万円の応援をしてくれたお客様が「1万円分は応援だから特典分はいらないよ」と言ってくれた事に改めて常連さんのありがたさを感じたそうです。
そんな 嘉肴萬菜○いけ さんのHPはこちら
なかぐろ 飯島英彦さん
二人目は8月で11周年をむかえる西の日本酒をメインに揃えるなかぐろ飯島さん。休業要請中は15時から20時までの営業を続けて5月3日から6日まで休業されていました。
3月からテイクアウト提供をしていましたが、気温上昇での食中毒リスクとほぼ常連さんの購入が一周したのでメニュー内容を変更するかどうか現在検討中ということです。
現在の客入りは7割減で常連さんのみですが、逆に新規客は県外客の可能性もあるため落ち着くまでは今の営業スタイルを続けるしかないようです。
常連さんの利用スタイルは不安を感じるようなところもなく通常通りですが、やはり家族には内緒にしている人もいるとのこと。
あとはテレワークになり、街へ出る口実が無くなり店に来れなくなっている人も。
「テイクアウトと店で飲み食いするのでは3割くらい感動下がっちゃうよね。やっぱり店で飲むのはいいよね。応援しているよ」と常連さんから言われ、応援してくれるその姿勢にとても救われましたし、恩返ししたいと思っているそうです。4月から強力なハイパー料理人も加わり恩返しに加速が付きそうです。三密を避け三圧で乗り越えてほしいです。
なかぐろさんのHPはこちら
和醸良酒○たけ(まるたけ) 石山健英さん
三人目は居酒屋と食堂の2店舗を運営している和醸良酒○たけの石山さん。仙台で燗酒といったらまちがいなく名前が上がるお店です。日本三大テノールと言われているお義父さんのこうちゃんの焼くたこ焼きもまた名物です。
休業要請中は13時から20時までの営業で昼飲みの推奨とテイクアウトを行っていたそうです。僕も昼飲みに随分助けられました(笑)
名物のたこ焼きのテイクアウトは現在も受け付けていますが、気温上昇に伴い弁当のテイクアウトはお断りしているそうです。
休業要請明けの客入りは3分の1ですが、お客様の多くがソーシャルディスタンスを気にされているので客席にゆとりをもたせる意味でも現在はしょうがないかと思っているそうです。
それと地下鉄駅近くに店があるのですが、地下鉄などの公共交通機関や密室になるタクシーを使用したくないという点で酒量を制限されている方もいらっしゃるそうです。
解除後少しづつネット予約が動きはじめてはいます。一喜一憂はできませんが前向きに捉えたいとおっしゃっていました。
まるたけさんのHPはこちら
お菜晩酌志ほ 古川志穂さん
四人目は2年目に入った志ほの古川さん。おばんざいメインのお店で一人飲みのお客様でコロナ前ななかなか予約がとれない人気店。「志穂さんは絶対お酒好きなんだろうなー」と感じてしまうおばんざいの数々に僕もついつい杯を重ねてしまう一人です。
古川さんは一人で店を切り盛りされているので休業要請中も15時から20時まで時短営業を行い、現在は通常より一時間短い23時までの営業をしているそうです。
おばんざいのお店なので持参されたタッパーなどへのテイクアウトはやっていましたが、気温上昇のためこれからはお断りする方向で考えているとのことです。
元々カウンター8席とテーブル4席の小さいお店ですが、現在の客入りは7割減。今までは一人客がメインでしたが、解除後は2名で店待ち合わせで来店される方が増えて友人と直接の会話を楽しみたい様子でした。店での飲食をすることに多少罪悪感があるのかSNSでチェックインをする事に抵抗を感じる人もいるようでした。
単身赴任のお客様が多く、休業要請に悩みましたが自宅に帰る事のできないお客様のためにも店を開け続けるべきと判断したそうです。
どのような営業が良いのか、何が正しいのか毎日がとても苦しかったですが、そんな中でも常連さんがまるでローテーションを組んでいたかのように応援に来てくださってとても救われました、と語っていました。
志ほさんのHPはこちら
インタビュー時仙台市のアーケードを通るといつもの6割程度までは人通りが戻っていると感じました。昨年まで見られなかった店舗前での弁当販売も多く見られましたが、お客様の見る目もシビアになってきたのか売れ残りも多くなっているようです。
東日本大震災の後、街に飲食店の明かりが戻った時は希望の灯りの意味が大きかったですが今回の灯りは街の皆さんにどう映ったのでしょうか。
今回以前から仲良くさせてもらっている4店舗の店主さんとお話をさせてもらいました。それぞれが飲食業を選び、飲食業と共に歩いて行こうという覚悟と困難な中でも応援してくれるお客様への感謝の気持ちが溢れていました。
飲食店は人の本能に寄り添っているのだと僕は思っています。リアルタイムでのやりとりや、その店主がそこにいる空気。出来たてをいただくお客としての喜びと「美味しい!」の言葉をダイレクトに感じて喜ぶ店との協奏はこれから先も必然だと強く感じています。
さて次はどこ飲みいこっかな。