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老舗計画株式会社

飲食店コンサルタント | 開業支援・経営改善

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僕の半生3

ほんと、ホテル学校って
ホテルに泊まったり、なんか優雅な学校なのかな
なんて思っていたんですよね。

まさか世の中に
ホテルで働くための学校があるなんて知りもしなかったんです。

別に接客をしたいとも
もとい、どちらかと言えば
人と関わるのがあまり得意じゃない私が
そんな業界いける訳ないじゃん。

と、ほとんど学校にも行かず
パチンコばっかりやっていました。
その当時初めての彼女も出来たなぁ。

だって他の人たちは
みんなホテルをずっと目指してました!
とか、接客業に就きたいんです!

という人ばかりで着いて行けなかったんですよね(汗)

英語やフランス語とか
全く興味も沸かず。ぼやーっとした毎日。
ただ、皿を持ったり
技術的な事は面白かったんですよね。

で、ホテル学校名物
ホテル実習。

休み期間にどこかのホテルに
強制的に実習だされるんです。

めちゃくちゃ嫌でした。。

最初に配属されたホテルは
とあるリゾート。
そのメインダイニング。

いまだに忘れません

10名様くらいのテーブルに
ビールを提供するのが私の最初のサーブでした。

「お待たせいたしました。生ビールお持ちいたしました」
とビールを提供しようと手を伸ばすと
左手が無重力に。

あれ??

トレイに目をやると
そこには、重力から解き放たれたグラス達が舞い踊って
どんどんお客様の背中に吸い込まれて行っていました。

それが私のスタートでした。

もうイヤだ
みんなに迷惑かけてしまう。

早く帰りたい、早く辞めたい
俺には接客なんて無理だよ。。

と、毎日泣いていました。

でも、やらなくちゃならない。逃げ出せない。

なので、せめて人に迷惑をかけないようにと
誰よりも早く出勤して
誰よりも遅く帰ろう。その分練習しよう。

楽しさ、なんてまるで無くて
時間になるとぞろぞろ来る
(お客様)への作業をひたすらやっている。
そんな毎日でした。

その実習が終わった時本当に安心しました
あぁ、これで開放されるーって。

でも、また次の実習
そこは当時仙台でも老舗といわれるホテルの
メインダイニング。

立派な建物で
立派なお客様

待機してるその時
目の前に真っ黒なカーテンが降りてきて。。

あまりの緊張で
貧血で倒れてしまう。それがそのホテルでの初日です。

こんな俺が接客なんてする資格なんて無い。
そんな気持ちの二年間。

いよいよ卒業。

まだ私は
パチンコ屋か警備会社に就職しようと考えていました。
だって、接客を面白いと感じた事はありませんでしたし
何よりも
仕事は生活費を稼ぐためだけの事。

そんな気持ちだけだったから。

ただ、ホテル学校に通わせてもらった手前
一度はホテルに面接行こう。
そこ落ちれば、あとは堂々と他にいける。

そう思い
新規オープンするホテルへと面接へ。
あれほど気楽に面接した事ないんじゃないかなぁ。
だって落ちるために受けたようなもんですもん。

なのに内定頂いてしまいました。
という事は
私のかわりに誰かが落ちたって事。

その誰かが
私の友達だったって事。

なんでだろう。なんで俺だったんだろう。

配属されたのは
やはりレストラン。

友達が入りたかったそのホテル
じゃぁ、そのかわりに俺しっかりやらないと。

毎日毎日
お昼に大量のお客様がいらっしゃるレストランでした。

「すみませーん!」
「ランチまだですかー」
「水くださーい」

わがままばかり言う
(お客様)という存在。それに対応するだけの日々

早く抜け出したい。そればかりでした。

そんな中
週に一度程度いらっしゃるOLさん三人組の会話が
ちょっと聞こえてきました。

「◯◯ちゃん、◯日誕生日だったよねー」と。
なぜか頭に残っていたんですよね。

そして当日
その三人組が来店されました。

その日
ほんと、何かの気まぐれでシェフにこう言ったんですよね
(今日誕生日の常連様いらっしゃるので、アイス出していいですか?)
って。

喜ばせよう
だなんて思ってた訳じゃないですよね。
ほんと、単なる気まぐれ。
つまらない毎日に、何か刺激を加えようと思ったのだろうと思います。

「風の噂で聞いたのですが・・誕生日おめでとうございます」
とアイスをサーブしてみました。

すると
私が思うよりずっと喜んでくれたんですよね。

びっくりしちゃった。

そしてそのお客様は私の名札を見てこう言ってくれたんです。

「阿部さん、ありがとう!」って。

何か、湧き上がってくるものを感じました。
そして、気づいたら私もこう言っていたんです
「お客様、よろしければお名前教えていただけますか?」って。

小川様でした。

その瞬間、世界の見え方が変わったんですよね。

皆さん、最近行ったファミレスで
サービスしてくれた店員さんの名前覚えてますか?
昨日行ったコンビニの店員さんの名前は?

今までは
時間になるとわさわさとやってきて、わがままばかり言ってくる
(お客様)という得体の知れない生き物と
それに対応する名前もない(すみませーん)の人
それが接客業だと思っていたんです。

だけど、その瞬間
(小川様)と(阿部大)
の人と人との関係になったんです。

そうしたらね
入り口から入ってくるのは
得体の知れないモノ、ではなく
それぞれ一人一人の人間だし
何よりも私達は

もしかしたら
一日に何百という出会いを得られる
とんでもない幸せな生き方をしているのかもしれない。

そう思っちゃったんですよね。

お客様にはこうやっとけばいい
とか
お客様なんてそんなもんだよ。

なんて言葉聞いたこと有りませんか?
でも、お客様として生まれたきた人なんていないのに。
みんな、仕事が終わればどこかのお客様なのにね。

(お客様)として見てしまうと
大切な事を見落としてしまうんじゃないかとも思うんですよね。

目の前いらっしゃるのは
お客様である前に、一人の人間なんですよね。
人として尊重しあう。それが何よりも大切なんじゃないかな。

そんな事を思ったら
もう、この業界から離れらなくなっちゃいました。

それから順調にキャリアを積み重ね
段々調子にも乗ってきちゃったんですよね。

女遊びも馬鹿になるくらいやっちゃったし。
でも、当時一目惚れしちゃった女の子がいて
一ヶ月だけお付き合いしたんですが
プラトニックだったんですよね。
それがなんだか残ってもいたのですけどね。

いくつかのお店を経て
そして、スカウトされて入ったとある会社で
仕事ぶりが認められて、順調に進んで
ご縁を頂き、なんと結婚!

そして、その後
全部壊しちゃうんですよね。
ほんと、馬鹿で調子に乗ってたんだよなぁ。あの当時の私は。