“とりあえずやってみよう”が道をひらいた、親子の継承物語
岩手県盛岡市本宮2丁目。
半世紀以上続く寿司店「お酒と肴 すし清」。
今回は、二代目としてお店を支える娘さん・久美子さんにお話を伺いました。
阿部大(以下 阿と表記):
久美子さん、支援を始めた頃は本当に大変な時期でしたよね。あの時、どんな状況でしたか?
久美子(以下 久と表記):
もともとの売り上げの低迷下に、さらにコロナの影響が追い打ちをかけた時期でした。
ウーバーイーツなどのデリバリー系が流行って、自店の出前利用者が減り、
宴会や法事の利用もどんどん減っている状況でした。
すしの握り手である父は81歳。
少しずつ握る速さも落ちてきて、やる気があるのは母の女将だけ。
疲れた父を引退させながら、お店の営業をどう続けるか、
売上を回復させるか、課題は山積みでした。
阿:
あの頃は本当にギリギリの中で踏ん張ってましたよね。
で、僕を最初に見た印象、正直どうでした?(笑)
久:
失礼ながら、正直“胡散臭かった”です(笑)。
実は以前にも一度、他のコンサルを受けたことがあって。
新しいチラシを作って配布したり、色々やったんですけど、効果はいまひとつ。
経営が厳しい中で、割引券付きのチラシを配った時は、母の顔がどんどん渋くなっていきました。
その地域の色も見ずに、都会の値段設定、
「お寿司屋といえばこれ」という決めつけのメニューづくり。
コンサルって……あまり良いイメージがなかったんです。
そこに現れた大ちゃん。見た目だけで言うと、
「なんというか、上を行ってた」感じでした(笑)。

阿:
ですよね(笑)。たぶんその頃、見た目だけなら全国でもトップクラスに怪しかったと思います(笑)。
でも途中から少しずつ印象が変わっていきましたよね?
久:
はい。話をしていくうちに「あ、この人は本物だ」と思いました。
大ちゃんは最初に厨房や作業場を見て、
提供スピードを上げるための配置から手をつけてくれたんです。
それが最初の“大革命”でした。
分かってはいたけど、不便なまま放置していた導線。
営業しながらだと尻が重くてなかなか動かせなかったんですよね。
二階の厨房からリフトで料理を運んでいたシステムを、
一階で料理できるように変えるためのアイデアをいくつも出してくれて。
大変でしたけど、すぐにその効果を実感できました。
阿:
あの導線改善、本当に劇的でしたもんね。
その後も、メニューの方でもかなり工夫が増えましたよね。
久:
次の提案が「呑める寿司屋」としての方向性でした。
お寿司以外のメニューを充実させて、
歩留まりの食材を美味しい料理に変えるアイデアをたくさんもらいました。
それに、歳をとって動けなくなってきた父にも配慮したメニュー構成だったんです。
Wi-FiとiPadを導入して、
原価や売れ筋をデータで見える化して、
メニューの作り方やレイアウトまで一緒に見直してもらいました。
最後の最後まで徹底的に見守ってもらったと思います。



阿:
途中でちょっと疲れ気味の時期もありましたよね(笑)。
でもその頃、お客様の反応もすごく良くなっていきました。
久:
そうなんです。目に見える変化をお客様も感じていたようで、
「面白いメニューになってる!」「楽しい!いいねー」と声をかけていただきました。
それが本当に励みになりました。
大ちゃんが全部やってくれるわけではなくて、
あくまで“サポート”だから、自分たちも技術と考え方が身についたと思います。
支援を受けた時だけじゃなく、
“長く続けられるように”支えてもらえたと感じています。
阿:
そう言ってもらえるの、めちゃくちゃ嬉しいです。
印象に残った言葉や考え方ってありますか?
久:
「とりあえずやってみよう」ってスタンスですね。
あと、忙しくて何も手をつけられなかった時期に言われた、
「実践しないと一日一万円の売上が逃げるよ」って言葉(笑)。
あれで逃げずに動けた気がします。
阿:
あぁ、言いましたね(笑)。あれは我ながら名言かも。
じゃあ、僕の良いところも聞いちゃっていいですか?(笑)
久:
困った時に連絡すると“即レス”です(笑)。
できる限り即行動でサポートしてくれて、
現場の視察も必ずして、無駄がないように課題を提案してくれました。
ゆるーいおじさんかと思いきや、全然違いました(笑)。
値段の話のときは、母がだいぶごねたんですけど、
その時は衝撃的な雷を落とされました(笑)。
でも、あの一言で腹が決まりました。
頑張ったことをすぐ褒めてくれるのも励みになりましたね。
これから支援を受ける方には、
「とりあえず実践あるのみ」と伝えたいです。
怪しい通販みたいですが(笑)、変化はすぐ出てくると思います。
阿:
通販より説得力あります(笑)。
で、今はどんな思いでお店を続けてるんですか?
久:
今は「お客様が楽しめるように」が一番ですね。
お客さんが楽しくないと、私たちも楽しくない。
だから、こちらが楽しいと思える“美味しい”を提供できるようにしています。
メニューに飽きてきたら、すぐに新しいおすすめを考えて。
「とりあえず気軽にやってみる」を実践してます。
おかげさまで、父は無事に板前を引退しました。
今は私が握っています。
忙しくて「くそー!」って思う日もありますが(笑)、
良いお客様に囲まれて毎日充実してます。
感謝の気持ちを忘れず、これからも長く続けていけるように頑張ります。
応援よろしくお願いします!


阿:
いやぁ、最高です。
“とりあえずやってみよう”の精神がここまで形になったのはすごい。
これからも「お酒と肴 すし清」が盛岡を元気にしていくと思います。
僕も全力で応援してます!
店名情報
- 店名
- お酒と肴 すし清
- 電話番号
- 019-634-0448
- 住所
- 〒020-0866 岩手県盛岡市本宮2-24-1

