激動の一年が終わろうとしていますね。もはや30年ほど業界におりますが、ここまでしんどい年は記憶になかったですね。ともあれ、なんとか令和2年を完走できた皆さん、本当に素晴らしいと思います。この先誇っていいことだと思いますよ。
どうやら2020年の12月22日から占星術的には風の時代ってものになるらしく、ちょいちょいSNSで投稿されているのを見かけます。ざっくり言うとモノからコト・ヒトになるんだ!みたいな。今更??という感じもしますが、ともあれ令和2年は2011年に続いて価値観が大きく変動した瞬間でしたね。
東日本大震災後、生きる意味であったり商売のあり方や価値の提案が大きく変わったと言います。利他、なんて言葉が多く聞かれるようになったのもこれからですよね。そして今年も大きく価値が変わった事が多かったですね。
ざっくり言うと
飲食店に行かなくとも別に困らないよね
って事が世の中にバレたというのが大きいかなーと。業界人が言うのもおかしい話なんですけどね。デリ、TAKE OUTなどなど中食を取り巻く環境が強化されまくって自宅でもクオリティ高い料理楽しめちゃうわけです。終電気にしながら飲んだり、財布気にして注文するなんて事しなくていいし、すぐ横になれる圧倒的優位性がある。
今までは、やれ日本のサービスは世界一だ!とか飲食は必須のインフラだ!とか高らかに言っていましたけど、実際はこんなもんだったという事です。
でもね、だからこそ僕は尊いと思うんですよね。
不必要だからこそ必要ってあるよね
別にお腹を満たしたかったら惣菜で十分
酔いたいならストロングゼロでばっちり
愚痴言いたいならSNSにUPすればいいし
発散するならスポーツやりゃ健康にもいい。
わかっちゃいるけど、やっぱり貴方の店に行きたい。
それでも行きたい。
他の人には不必要かもしれないけれど、わたしには必要なんだ。
貴方がつくる一皿が、貴方が注ぐお酒がわたしを満たしてくれる。
ぼくは飲食店の立ち位置ってこんなところでいいんだと考えているんですよね。
誰かに頼まれて行くわけでもないし、誰かのために行くもんでもない。
代替えはいくらでも可能。だけどしっかり残っていく。そんなかっこよさが飲食店にはあると信じてます。
僕らの中で言われる言葉で好きなのが
「入り口が笑っている」って表現があって、これは繁盛店のたとえに使われる事多いのですが、旨いとか安いとか接客が良いとか明確な事じゃなくって、とってもファジーでぼんやりしているこの例えこそが飲食店の良さを伝えているんじゃないかなと思っていて、これは絶対中食じゃ出せない「実店鋪の強み」なんだと考えています。
来年の予想
ここにきて急に予想ですが、ワクチンできました!これで万事解決!なんて事は少なくとも来年中には起る事もないでしょう。オリンピック後にちょいちょいワクチンが出回ってくるけど、副作用を気にして全員がワクチン接種という流れにはならずに進んでいくのでしょう。
TVの陽性者数も表示が簡素化されてきて、そんなに怖くは無いけど当たり前の存在っぽい落とし所になるんでしょうね。
飲食の利用シーンは20名以上の宴会、という流れはあと5年は戻ってこないだろうなという予想です。カウンター席強しです。
そもそも宴会利用って店の都合が強いですからね。売上も大きいし仕込みやサーブが楽なのでそっちに促していたけれど、お客様も宴会料理の裏事情を知ってたりしますから、一人づつ丁寧にもてなすスタイルに戻ってくるのは必然ちゃ必然でしょう。
かといって人件費を大きく増やすわけにもいかないので、設備に任せる所と人がやらなければならない所の仕分けが多くなるはずです。あとは小さい個人店でもキャッシュレス化が進んでいるわけなので、いつまでも日銭商売で管理が出来ていないお店はいよいよ危なくなります。
これ幸いと飲食業をバージョンアップする!と息巻いた他業界のIT猛者達がこぞって参戦しているので、上手に使いこなせる店がより利益を残していく事になるはずです。
なので、今まで以上に鮮度ある情報の重要性が高まりますね。自分で情報捕まえないといけない人はもっと大変になるはずです。
あとは僕的な話でいえば、短くても残る接客の指導や店内の動線再構築の依頼は増えるかなと。この流れだと必須ですからね。
そしてカウンターの店を作る機会がますます増えそうです。
あるべき姿に戻るのかな
今年好調だったのは、やっぱりカウンターメインのお店でした。僕のお客様でも7月から作対170%とか売ってる店はカウンターメイン。横並びだと安心するのと、やはり飲食店の良さが一番感じられるからでしょうね。
つまるところ、一人のお客様を丁寧に丁寧に楽しませて、自分を覚えてもらってまた来てもらうという原点に立ち返っただけなんだなと感じるわけです。
来年どうなるか予想はしましたが、神様じゃないので当たるかどうかは謎ですが、一つだけはっきりしているのは
こんな状況でも来てくれているお客様がいるって事です。こないお客様をあれこれ悩むより、きているお客様を倍以上幸せにしてあげてください。
僕等を必要だと思っているお客さまに限りない恩返しをしていく。そんな基本中の基本をまた思い出させてくれたのがコロナだったのかもしれませんね。
それを生かして、来年も楽しんで生き抜いてやりましょう!