個人店ならではの癖が強いお店が大好きな阿部大です。コンサルティングする時もそうなのですが、イチ店舗ならオーナーのやりたいことや個性がしっかり反映されている事を大切にしたいのですよね。そのオーナーだからこそ許される、というのがたまりません。
四国で出会ったお店の話です。駅前からの横道を行くと真新しいビルの一階にその店があります。店頭にはA看板と花壇を使ったサインがあるのですが、昭和生まれにはぐぐっくと来る仕上がりです。
店頭のA看板にはフードメニューが掲示してあるのですが、なんとそのメニューは文字情報よりも某北斗神拳キャラクターの切り抜き、特に聖帝が所狭しと貼り付けてありました。むしろメインは聖帝でメニューは添えるだけの仕上がり。
二段の花壇の中心には不思議な陶器人形が鎮座し、その周りに短冊にて名物メニューがいくつか表記されています。
「殺人ギョーザ」「名物うまい棒」
全くわかりません。が、無機質さが漂うビルであってもユニークなオーナーの人柄が伝わってきて思わず入店を促してくれます。
入店すると、やはり、という感じで見るからにハツラツとして楽しそうなオーナーが迎えてくれました。ランチタイムでの入店でしたが、夜のメニューを改めて見せてもらうと色々と発見がありました。
ドリンクとフードメニューを確認すると、実はそんなにメニュー数が多い訳ではなく、文字だけのメニューにしてしまうと寂しいボリュームです。それを補完するために聖帝や拳王のイラストを多用しているようです。
ドリンクメニューは某サイヤの戦士達が大集合、ドリンク名も「スーパーサイヤ人」「アメリカ人」「ロシア人」とこれも全く予想できません。
店内を見回すと、グランドメニューには記載されていない新商品がPOPで掲示されていましたが、その掲示方法がとても優秀でした。
色を揃えて掲示するのはよくあるパターンですが、こちらでは白、黄色、緑、青の用紙を使っていました。それにより通常の掲示よりインパクトが強化されているのはもちろん、面白いのがそれぞれの用紙に重なり合うように一つの集合体にしている事です。ともすれば横並びにしてしまいがちなメニューですが、こうする事によってより視覚に訴える効果がありました。
カウンター上部、左右壁面に二箇所づつに、色とりどりの集合体があり追加メニュー訴求と共に賑やかさを演出しています。そこに書かれているメニュー名も「パーマン2号」「天国ギョーザ」「エノキオ」と全く意味のわからない表記ばかりでついつい一人でツッコミしたくなります。飲食中に目に飛び込んできたこのメニュー達を肴に、どんな料理なのかをテーブルであれこれ推理して盛り上がれる工夫を感じます。
スタッフの力だけでなく店内掲示の工夫によって、最小限の人員でもお客様を楽しませる仕掛けがたっぷり詰まっていて、オーナーのおもてなしの気持ちが十分伝わってきて、ついついビールを注文し美味しくランチと共に楽しい時間を過ごさせてもらい、次は複数人数で夜来るぞ、とまんまとオーナーの作戦にハマった四国の昼でした。