Twitterで情報収集や発信を行う事が多いのですが、最近頻繁にタイムラインで見かける事が多くなった飲食店が青森市にあります。
しかも、単にリツイートされているのではなくてフォロワー(Twitterで繋がっている方)が投稿についてコメントを入れた上でリツイートをがんがんしているのを見て、とても興味を持ったため青森で接客マニュアル作成の仕事ついでに伺ってみました。
それは青森駅から徒歩10分ほど、裏路地の2階にある「わやわや」さんです。
細い階段を上がって店に入るとPOPやお客様の色紙などが所狭しと飾ってあり、それぞれが楽しい工夫を凝らしていて入った瞬間に楽しい気分にさせてくれます。
「Twitterを見て宮城からやってきました」と入店対応してくれた女性スタッフに伝えるとなんとその人が店の代表であり、Twitter担当者でもある鈴木里穂さんでした。
そこで、料理を楽しみながら里穂さんに色々とお話を伺ってみました。
里穂さんのおじいさんも飲食店経営という飲食三代目で、里穂さんは飲食業の他にも地元アイドルをプロデュースするなど様々な活動をしているそうです。そのためかSNSのノウハウも非常に練られたものでした。
まず、2018年10月からTwitter本格稼働で2019年7月時点、どのように5000人以上のフォロワーを獲得できたのかを聞いてみました。
まずは第一に、店に対してネガティブなコメントをしてくるアカウントを即座にブロックしてTwitter内の環境を整える事を大切にしたそうです。それによってノイズが少なくなるので自然とTwitterと関わる時間も増えてくるという事です。
Twitterでは「ねぶた」や「貝焼き味噌」などのフォロワーの思い出や思い入れを刺激する投稿を動画ですることによって反応を高める事を意識していて、返信やリツイートを漏らさず対応しています。しかも返信の際には必ずフォロワー名を入れたりコメントの一部を繰り返しするいわゆるオウム返しで共感性を高めています。
単に定型文のような返信ではないのがフォロワーにとって大切にされたという気持ちが芽生え、その努力に応えるようにまた多くのRTが生み出されています。それを見た他のユーザーが店をフォローしていく流れだそうです。
毎日40以上のやり取りを丁寧に行う努力は単に販促のためだけでなくお客様に寄り添う気持ちの現れでしょう。しっかりフォロワーに伝わっているために共感を生み出しているからこそ、投稿に平均400程度の(いいね!)がつくのでしょう。
Facebookではユーザー層がTwitterより年齢が高めなので、敢えてTwitterのような発信ではなく「豆知識」「店の思い」などを盛り込んだ投稿で反応を高めているそうで、里穂さんの言葉を借りると
「Facebookは先生視点、Twitterは生徒視点」とのこと。
SNS以外では、店内の様々な仕掛けの中で一番目についたのがテーブル席の間仕切りです。ロールカーテンを使うお店が多いなか、こちらではなんとメニューを大きく拡大したものを天井から吊り下げて間仕切りに使っています。
それもお客様とやり取りしている中で「メニューを見るのが面倒くさい」の言葉を拾って店のスタイルで昇華したもの。単なるインパクト狙いだけではなくて、根拠にはお客様に寄り添う姿勢がここにも表れていました。
(お客様とスタッフ、それぞれ人同士が繋がり仲良くなっていく事により、温かくて人を大切にする青森の良さを店を通じて実感してもらいたい)という理念があって、それを実現するためにも色々な工夫が見て取れます。
例えばトイレ内にスタッフの似顔絵入りプロフィールがあるのですが、ポスターのように貼り付けではなくて一人づつ小分けにされていて持ち帰れるようになっていたり、店内BGMのリクエストを受け付ける事により思い出話などを掘り出したりしたりしています。
店内いたるところにお客様の色紙が張り出されているのは、とあるチャレンジメニュー達成者の証。僕もしっかりチャレンジ成功で色紙を書いてきました。
おそらく、次回はその色紙を自慢するために青森の友人を連れて店に行ってしまうことでしょう。
僕はお酒の場だとあまり食べられないのですが、気遣って量を調整してくれたり、お客様によって味の調整もしたりと基本のサービスがしっかりしているからこそ色々な仕組みがまた生きているのだと感じます。
青森は人口減少が問題視されていて、将来が不安だという声も多く聞かれます。
しかし、お客様に寄り添うことを店内サービスだけでなくSNSでもしっかりやりきる事で将来の見込み客を増やしつつ、店では期待値を超えたもてなしで一気に心を掴んでファン作りをして、そのお客様がまたSNSで拡散していくという地方でのSNS戦略を見せてもらいました。