最近、ポイントを貯める快感を覚え始めてコンビニでQRコード決済を頻繁に使うようになってきたのですが、非接触型IC決済と比べてユーザー側の手順が多いのがやや面倒なのが玉に瑕です。
とは言っても、会計前にアプリを起動しておけばそんなに気になるほどでも無いのですが、商品読み取り終了後に該当するアプリを伝え、それからスタッフさんがレジ操作をして読み込み開始、というちょっとしたタイムラグがもやっとします。
先日、駅近くのコンビニで同じようにアプリを起動してレジ列に並んでいたのですが、商品の読み取りを終えた瞬間に「ラインペイでお支払いですね?」とすでに読み込み可能な状態になっていてびっくりしました。こちらが伝える前になぜ?と思い、ついもう一つドリンクを手に取り並び直して改めてチェックすると、そのスタッフさんは商品読み取りをしながらお客様のスマホ画面をチェックしてアプリの確認を済ましているのがわかりました。しかも、目の前のお客様だけでなく後ろに並んでいるお客様の画面もチェックしていました。
会計金額を伝える→QRコード決済を伝えられる→レジ操作→読み取り
の動作を
会計金額を伝えながらレジ操作をしつつQRコードの確認をする→読み取り
と、お客様に待ってもらう瞬間を排除した作業へまとめていて感心しました。
お客様のアクションを予測して、予め準備しておくことで作業をスムーズに運ぶ知恵ですよね。同じような事が飲食の現場でも活用している瞬間に出会う事があります。
接客が良いとされている店では飲み放題でもおかわりを聞きに来る場面に遭遇します。これはお客様満足度を高めるためでもあるのですが、もう一つ大きなメリットとして、自分たちが余裕を持ってドリンクメイクなどをできるタイミングに前倒しでオーダーを取れるという事です。
オーダーのタイミングはピークタイムに重なってしまうのは皆さんご経験の通りだと思いますが、それを前倒しする事によりオーダーを分散させてオペレーションの軽減を図っています。これも予測して行動する事により作業をスムーズに進める事例です。
このように予測、行動する事でお客様の待機時間を操作する事を僕は「時間を支配する」といっています。
僕自身も、60席あった最初のお店でスタッフが総上がりして僕一人で切り盛りしていた時代や、最後の10席ワンオペ時代もこのやり方で随分と助けられました。カラン、という氷の音がしたらグラスが空になった合図なのは勿論、グラスの傾け方で残量を推測していました。
上記の例は、商品提供までの時間を調整する事が目的ですが、もう一つ面白い事例があります。それはヒューストン空港での仕掛けです。
飛行機到着から、荷物受渡し場所へ向かいそこで随分と待たされた経験は皆さんにもお有りだと思いますが、現状でははあれ以上の速さは望めないらしいのです。が、ヒューストン空港では発想の転換をして荷物受渡し場所へ向かいお客様の動線を敢えて遠回りさせる事により、荷物が出てくるまでの体感時間を短くする事に成功したそうです。
つまり提供までの時間は同じですが、荷物が出てくるまで5分であればお客様に5分の間他の行動、ここでは移動してもらう事によって受け渡し場所では待たずに荷物が出てくると錯覚させているわけです。何もしないでただ待っている時間は苦痛ですが、その時間を移動や何かしらの行動してもらう事で体感時間を短くした好例です。
飲食店でも、どのように工夫しても提供時間がそれ以上削減できない場合はありますが、例えば定食メニューでも最初に小鉢やサラダなどを提供しメイン到着までの体感時間を短くするなどしらずしらずのうちにやられている事も多い仕掛けです。
ウェイティングの際にサービスでドリンクを提供したり、厨房がピーク時で手間のかかる料理の提供に時間がかかりそうな時などは、ファーストオーダーで、店がわからの提案でスピードメニューの比率を高めに推奨し、メインが出るまでのつなぎ料理をしっかり出し切るなども体感時間の調整と言えますので、仕組みとしてぜひ検討してみてはいかがでしょうか。